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(イ)緊急市民相談等の実施
被災者の抱える生活上の不安やさまざまな悩みの相談に応ずることで、少しでも震災によって生じた問題を解決し、被災者の生活の再建と安定を支援していくことは、被災自治体にとって緊要の課題であった。
神戸市においても、被害が激しく使用不可能となった市役所「市民相談室」に替え、神戸弁護士会館を拠点に電話による法律相談が開設(1月29日)されたのを皮切りに、関係機関、団体等の協力を得、逐次緊急を要する相談窓口が開設された。
これらの相談体制、実績等は次の通りであるが、これらでも見られるように、震災により既存の相談窓口等そのものが破壊されており、相談場所(窓口)の確保、臨時電話回線の確保に加えてそれぞれの必要な分野に関する専門相談員の確保が重要な課題となっている。また、相談窓口の開設については、いずれの場合も土・日曜を含む開設体制がとられている。

 

神戸市の緊急市民相談等の実施状況
(1) 神戸市の緊急市民相談等の実施状況
○法律相談 (於:神戸弁護士会館)
・開設期間等:〔電話相談〕1月26日〜2月28日 〔面接相談相談〕2月1日〜2月28日
・相談日時 :毎日 10:00〜17:00       月〜金(祝日除く)11:00〜16:00
・相 談 員:弁護士(常時3〜4名)及び市民相談員2名(相談用臨時電話 3回線)
・相談件数 :4,782件              991件
・主な相談内容:借地権や借家権の存否、敷金の返還など借地・借家関係の相談が全体の9割以上を占める。ただし、震災後間もないこの段階での相談は、当事者間での紛争が具体化してるものは少なく、自宅や借家が全壊したことで自分の立場はどうなるのかという権利関係の確認的な相談が多い。
○土地・建物(登記)、税務、社会保険・年金相談(電話) (於:神戸市外国語大学内楠ケ丘会館)
・開設期間等:1月27日〜2月28日(社会保険は2月1日から)、毎日 10:00〜16:00
・相 談 員:司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士 常時各2名、市民相談員 5名(相談用臨時電話 5回線)
・相談件数 :土地・建物(登記) 2,966件(1日平均 90件) 社会保険 257件(1日平均 9件) 税務 779件(1日平均 24件) その他 771件(1日平均 23件)
・主な相談内容:土地建物(借地借家の権利関係、倒壊家屋の登記手続、境界の確認手続、権利書の焼失等)、税務(雑損控除、減免、税の申告等)、社会保険(雇用調整助成金、雇用保険、労災保険等)、その他(家屋の安全性診断、倒壊家屋の解体手続などの窓口の問い合わせ)。
○住宅応急修繕相談(電話) (於:神戸市立青少年補導センター)
・開設期間等:2月3日〜3月31日 2月は毎日10:00〜17:00、3月は月〜金13:00〜16:00
・相 談 員:建築協力会加盟会社の建築士3名、市民相談員1名(相談用臨時電話 3回線)
・相談件数 :3,713件(内紹介依頼件数 1,043件)
・主な相談内容:瓦の葺き替え、ずれの補修、ブルーシート掛け、外壁・内壁補修、戸・建具の補修、浴室などのタイルの補修等のほか、倒壊家屋の撤去、罹災証明、住宅融資、義援金、借地借家など
(2) 区での法律相談等の再開
3月1日から各区役所において、法律相談が再開されるとともに、土地・建物(登記)、社会保険・年金相談が新たに開始されている。
・法律相談:(東灘、灘、長田区)月〜金 13:00〜16:00(弁護士)
(中央、兵庫、北区等)習2回 13:00〜16:00(弁護士、市民相談員)

 

 

 

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